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2025.12

AIエージェントのCV率はわずか17%|ChatGPT 100件購買実験から見えた課題

はじめに

今回のbonの朝礼では、Search Engine Landに掲載された「ChatGPTエージェントモードによる100件の購買実験」に関する記事を取り上げました。
ChatGPTの「エージェントモード」とは、AIが人間に代わってWebサイトを操作し、情報収集や購買などのタスクを実行する機能です。AIが自分でサイトを訪問し、フォームに入力し、購入まで完了する。そんな状況がすでに始まっています。
一方で、実験結果を見ると、AIエージェントがスムーズに購買を完了できるサイトはまだ多くありません。朝礼では実際にエージェントモードを試しながら、AIエージェント時代のサイト設計について議論しました。

ChatGPT 100件購買実験の結果

Search Engine Landの記事によると、ChatGPTのエージェントモードを使って100件の購買タスクを実行した結果、以下のデータが得られました。

  • プロンプトによって誘発されたWebサイト訪問:250件超

  • そのうちコンバージョン(購買完了)に至った割合:17%

AIエージェントがサイトを訪問しても、約8割以上は購買に至らなかったということです。
さらに、最初のクリックのうち63%はすぐに離脱していました。離脱の原因として挙げられていたのは、ページの読み込み速度が遅いこと、ボットブロックによるアクセス制限に加えて、4XX/5XXステータスコードの発生、意図しないURLへの301リダイレクトといった技術的な問題も含まれていました。

AIエージェントは人間のように「エラーだから一つ戻る」「URLバーを見ておかしいと判断する」といった柔軟なリカバリーが得意ではないため、こうした構造上の問題はそのまま離脱につながります。これらは従来からWebサイト改善で指摘されてきた項目ですが、「AIが訪問者になる」時代には、より重要な指標になってきます。

GPTは「画面」をどう見ているのか

こうした失敗要因を整理していくうえで、朝礼で特に話題になったのが「GPTはサイトをどうやって見ているのか?」という点でした。
当初は「GPTはHTMLのソースコードを読んでいるのでは?」という意見もありました。もしソースコードだけを見ているのであれば、ポップアップが「ボタンを覆っている」
という状況は認識できないはずです。HTMLの構造上、ポップアップとボタンは別々の要素として記述されているからです。

しかし、実際にエージェントモードを試してみると、GPTは画面をGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)として認識していることが分かりました。人間がブラウザで見ているのと同じように、「描画された画面」を見て操作しているということです。

試しにフォーム入力のタスクを実行したところ、GPTが画面上のフォームを認識し、エージェントに指示した情報を使って自動入力を行う様子を確認できました。「ご自身の情報を入力してください」というガイドテキストを読み取り、名前や連絡先を入力していく動作は、人間の操作とほぼ同じでした。

この「画面を見ている」という前提は、次に説明する3つのCV阻害要因を理解するうえで重要です。ポップアップがボタンを物理的に隠してしまう、ログイン画面が何度も差し込まれる、フォームのエラー表示が分かりにくい──といった問題は、ソースコードの話というより、「画面としてどう見えるか」の問題だからです。

AIエージェントのCVを阻害する3つの要因

こうした「画面の見え方」を踏まえたうえで、Search Engine Landの記事では、AIエージェントがコンバージョンに至らない要因として、主に以下の3つが挙げられていました。

1. ポップアップ

GPTはHTMLではなく実際の画面を見て操作しています。そのため、ポップアップが変換ボタンやページ遷移のリンクを覆ってしまうと、AIエージェントは適切な操作ができなくなります。人間であれば「×」ボタンで閉じられますが、AIエージェントにとっては大きな障壁です。

実験でも、クーポンポップアップやチャットボットのウィジェットが「次へ」ボタンや購入ボタンを物理的に隠してしまい、AIがクリックできず離脱するケースが多く見られました。
ポップアップや常時表示バナーが主要な導線を塞いでしまうと、人間にとってもAIにとっても「操作しづらいサイト」になります。

2. ログイン画面とセッション管理

ログインが必要なサイトは、AIエージェントにとって大きなハードルです。ここでも「GPTは画面を見ている」という前提が関係してきます。

まだ検討段階のユーザーに早い段階で会員登録やログインを強制すると、人間もAIも離脱しやすい状況になります。実験でも、ログイン必須のサイトは軒並みCVしませんでした。

ChatGPTのエージェントモードでは、ブラウザのクッキーによってログイン状態をある程度維持できますが、2段階認証、メールのワンタイムリンク、CAPTCHAなどのログイン制御はAIが突破できず止まります。

そのため、

  • ゲスト購入の導入

  • ログイン不要の資料請求

  • ログインのタイミングを本当に必要な場面に絞る

といった工夫が、AIと人間の両方でCV率を高めます。

3. フォーム入力

フォーム入力は、AIエージェントが購買・資料請求を完了するうえで必ず通るステップです。GPTは画面上のフォームを視覚的に認識して操作するため、フォームの設計が分かりにくいと離脱します。

特に、

  • ラベルと入力欄の紐づきが弱い

  • 必須項目が多すぎる

  • エラー表示が分かりづらい

といった問題は、AIにとっても大きな障害です。

一方で、正しく設計されたフォームであれば、GPTはガイドラインを読み取り、プロフィール情報を使って正確に入力できます。

なお、ChatGPTが個人情報を“勝手に”入力することはありません。明示的にユーザーが指示した場合だけ、提供済みの情報を使って入力しますが、重要な操作を行う前には必ず人の確認が必要となっています。フォームの送信や決済、投稿などの操作はユーザーの意思を確認してから実行するよう定められており、その一環として送信前に最終確認が発生します。

フォーム設計で重要なのは、「人にとって分かりやすい=AIにも理解しやすい」UI/UXであることです。

AIに見やすいサイトは、人にも使いやすい

記事で印象的だったのは、「AIに見やすいサイトは人が見ても使いやすいサイト」という指摘です。

  • AIが発見しやすい構造(URL、ナビ、内部リンク)

  • AIが文脈を理解しやすいコンテンツ(見出し、要約、FAQ)

  • AIが操作しやすいUI(ポップアップ、ログイン、フォーム)

これら3つは、結局のところ人間にとっても分かりやすい“王道のUX”と重なります。AIエージェント対応を考えることは、サイト全体のユーザビリティ向上につながると言えます。

bonの考え

今回の記事と朝礼での議論を通じて感じたのは、AIエージェント対応は「特別なこと」ではなく、「基本的なUX改善の延長線上」にあるということです。

読み込み速度、ポップアップ、フォーム、ログインフロー──どれも従来から重要とされてきたポイントですが、「AIがユーザーの代わりに行動する」時代には、その重要度がさらに高まります。

ChatGPTに「資料を請求しておいて」「条件に合う商品を買って」と頼む未来はすぐそこです。AIエージェントがスムーズに操作できないサイトは、その分だけ機会損失につながります。

bonでは、AEOとWeb制作を掛け合わせた視点から、AIに理解されやすい情報設計、人が使いやすい導線設計、両者をつなぐUI改善を一体で考え、研究と実践を続けていきます。


引用元: https://searchengineland.com/insights-chatgpt-agent-mode-463127

記事を書いた人

大川 愛美

ディレクター / デザイナー

2024年にデザイナーとして入社し、現在はWebディレクターとしてプロジェクト全体の進行管理や解析を担当。漫画、ドラム、焼き鳥が好きです。大阪の美味しい焼き鳥屋さんの情報求ム!

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